夏色の約束。~きみと生きた日々~


───つみ……。

───な……つみ……。


真っ黒に染まった闇の中、なつの名前を呼ぶ誰かの声が聞こえる。


───菜摘……。


思いのままにまぶたを開ければ、真っ白な天井を背景に、心配そうなお母さんの顔がなつの視界に飛びこんでくる。


「な、つみ………?」

「お、母さん……?」

「よかった……っ。あなた、碧くんの姿を見てから……」


そこまで言ってから、お母さんは悲しそうに視線を下げ両手で顔を覆った。


……ああ、そっか。


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