夏色の約束。~きみと生きた日々~
真っ白なドアの前に立ったなつは、自分を落ちつけるように何度も何度も深呼吸を繰り返す。
「ねぇ、菜摘。あなた本当に……」
お母さんが震える腕でなつの肩を掴んだ。
でもなつは何を口にするでもなく、ただ首を横に振る。
「だって……っ、さっきもそれで、倒れたじゃない……っ。あなた、大丈夫って、言ったのに……」
だんだんと涙声に代わるお母さんの声。
当たり前だよね。
確かにさっきも、なつは言った。
あおちゃんに会う前、
“大丈夫だよ”
って、笑った。