夏色の約束。~きみと生きた日々~
そのシルエットが大きくなっていくとともに、なつの脳裏には君と過ごした楽しかった日々がよみがえった。
「……あおちゃん」
なつのその呼びかけに返事をしてくれる君はもういない。
“なっちゃん”って無邪気に笑ってくれる君はもういない。
この静寂に飲み込まれてしまいそうでやけに怖くなったなつは、あおちゃんの手を握った。
……でも、握ったその手は、まるで冷蔵庫で凍らされたように冷たくて。
………やっぱり、いないんだ。
いつものように温かな手でなつを抱きしめてくれるあおちゃんも、なつの頬をなでてくれるあおちゃんも。
もうここにはいなくて、二度と会えなくなってしまったんだね……。
どうか嘘であってほしいと願ってたけど、あおちゃんのあまりの手の冷たさに認めざるおえなくなった。