夏色の約束。~きみと生きた日々~
それからあおちゃんのお母さんとしばらく話をして、今日の夕方6時にあおちゃんの家にお邪魔する約束をした。
そして今、なつはひとりきりで穏やかに揺れる海を眺めている。
「……あ、そうだ」
寄せては返す波を見ているうちに、なつはあることを思い出した。
「手紙、読まなきゃ。えっと……確かここに入れたはず……あ、あった」
なつはカバンをごそごそとあさると中からミニファイルを取り出し、そこから大切に挟まれている一通の封筒を取り出した。
この手紙はあおちゃんが亡くなった次の日、あおちゃんのお母さんがくれたもの。
あおちゃんの机の引き出しに
【俺がもし死んだら、この手紙をなっちゃんに渡してください】
というメッセージとともに入っていたらしい。
手紙をもらった日に開いてからは、毎年命日にも読むようにしている。
だから今回が、6回目になるのかな。
なつはひとつ深呼吸をすると、あおちゃんが綴った文字に目を通し始めた。