夏色の約束。~きみと生きた日々~


あおちゃん、なに言ってるの?


今、自分が言ったことの意味、ちゃんと分かってる?


あおちゃんに“綺麗”と言われたことがものすごく恥ずかしくて、なつは俯いたままその場に立ち止まって顔を覆う。


“顔から湯気が出る”っていう表現がこの世界にはあるけど、それってこういうことなんだって、初めて思った。


本当、恥ずかしすぎて湯気が出そうだよ……。


「なっちゃん? どうしたの?」


ひとりで自分の中の恥ずかしさと戦っていたら、顔を覆っていた手を掴まれて、グッと近づいてきたあおちゃんの顔。


いきなりの出来事にびっくりして思わず目をつむると、コツン……と小さく音がして、なつのおでこにあおちゃんのおでこがあたった。


その時にあおちゃんのふさふさの髪の毛もあたって、それがくすぐったくてなつは少し仰け反ってしまう。


「ん、熱はないね。 大丈夫? なっちゃん」


今度は心配そうな顔をして、なつの顔をのぞき込んできたあおちゃん。


……なんか、ちょっとムカつく。


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