夏色の約束。~きみと生きた日々~
ねぇ、あおちゃん。
君がいなくなってから、もう5年がたったんだね………。
なつはもう、18歳だよ。
……大きく、なったよ。
「あおちゃん……」
なつの口から、思わず大好きな人の名前がこぼれた。
“あおちゃん”
その響きがなんだか懐かしく思えて、目頭がじわりと熱くなる。
……こら、なつ。泣くな。
泣いちゃ、ダメ。
必死であおちゃんの笑顔を思い出して、なつは涙をグッとこらえた。
そしてそのまま、目の前に広がる壮大な青い海をジッと見つめる。
「あおちゃん、行ってくるね……」
海に向かってにっこり微笑むと、なつはきた道を戻るようにゆっくりと歩き始めた。