夏色の約束。~きみと生きた日々~


あおちゃんのお母さんのてのひらは、とっても暖かくって。


なつは、不安だらけの心をそっとほぐすように胸に手をあてて深呼吸をする。


「なっ、ちゃん……?」


その時、病室の中の方から聞こえてきた、なつの大好きな声。


でも、その声はいつもと違って少し元気がなくて、弱々しくかすれていた。


「菜摘」

「……っ、ん?」


あおちゃんのことを考えてボーッとしていると、お母さんがなつの肩にポンと手を添える。


「……菜摘、お母さんたち、少し外でお話してくるわね。また時間がきたら呼びにくるから、それまで碧くんとおしゃべりしてなさい」


斜め上を見上げれば、優しく目尻を下げて微笑んでいるお母さん。


そして“うん”と一回頷いてくれた、お父さん。


あおちゃんのお母さんも、


「碧と、たくさん話してやってね」


って、なつに笑顔を向けてくれた。


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