夏色の約束。~きみと生きた日々~


「じゃあ菜摘、お母さんたち行くけど、碧くんの様子が少しでも悪くなったら近くの看護師さんに言うのよ?」

「……うん」

「碧くんは、菜摘が守るんだからね」

「……ん」


お母さんはそれだけ言い残すと、お父さんとあおちゃんのお母さんと一緒に病室を静かに出て行った。


この狭い病室には、なつとあおちゃんのふたりきり。


“碧くんは、菜摘が守るんだからね”


お母さんに言われたその言葉が、頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡る。


「ねぇ、なっちゃん……」

「……なに?」

「そんなとこにいないで、こっちきなよ。風邪、引くよ?」


あおちゃんは、本当に優しいね。


自分の体の方がつらいはずなのに、なつの体調を気遣ってくれるんだもん。


「……そうだね、ありがとう」


一瞬迷ったけどあおちゃんがおいでと言ってくれたから、なつはゆっくり歩いてあおちゃんが寝ているベッドのそばへ行く。


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