夏色の約束。~きみと生きた日々~
あおちゃんはベッドを半分起こした状態で、なつの方を笑って見ていた。
……でも、その元気そうな笑顔とは裏腹に、あおちゃんの右腕には点滴の針が痛々しく刺さっていて。
「あお、ちゃん……」
気づけば、なつの瞳からは大量の涙が溢れて、その雫はむなしくなつの顎を伝って床に滴り落ちていく。
ぼやけていく視界の片隅に、今にも泣きそうな顔でおろおろしているあおちゃんの顔が映った。
「……っ、ひっく……うぅ…」
嗚咽が、全然止まらない。
「……こ、わかった……っ」
やっとの思いで口が開けたと思ったら、出てきたのはこの言葉で。
「あおちゃん……っ、やだぁ……」
そこで、やっと気がついた。
自分の中にあった、心の奥底の気持ちに。
なつは、あおちゃんがいなくなるのが怖かったんだって。
小さな頃からずっと一緒にいて、ずっと隣で育ってきたあおちゃん。
どんな時も、なつのそばで笑顔を絶やさず笑ってくれてたあおちゃん。
そんなあおちゃんが、今はなつの隣にいない。
この事実が、なつにとっては恐怖でしかなかったの。
それはきっと、なつにとって、あおちゃんが誰よりも何よりも大切で大きな存在だから。
“あおちゃん”というひとりの人に支えられて、なつが生きてたから。