夏色の約束。~きみと生きた日々~
だからね、あおちゃん。
「いなく、ならないで……っ」
なつの前から、いなくならないでよ。
ずっと、そばにいてよ。
「……なっちゃん、泣き止んで?」
点滴をしてない右手で、ぎゅっとなつの頭を抱きしめてくれたあおちゃん。
まるで小さな子供をあやすかのように、その手でポンポンと頭を撫でてくれた。
なつの胸の中に、温かいなにかがじわじわと広がっていく。
「……俺、いなくならないよ?」
「……っ、ん」
「約束、したでしょ? 病気に勝って、なっちゃんとずっと一緒にいるって」
「そう、だけど……っ」
「俺、絶対病気に勝つから。勝って、なっちゃんとずっと一緒にいる」
もう一度繰り返された、幼き日に交わしたあの約束。
顔を上げれば、真剣な顔でなつのことを見つめているあおちゃんと目があって、ドクンと心臓が疼いた。
「俺のこと、信じてくれる?」
「……ん」
なつが一回だけコクンと頷けば、あおちゃんはなつを抱きしめる力をもっと強くした。
……ちょっと苦しい。
でも、このままなつのことを離さないでいてほしい。