夏色の約束。~きみと生きた日々~
「あ、菜摘(なつみ)先輩!」
「本当だ!ねぇ、みんなー!菜摘先輩がきてるよ!」
「えー?嘘!?」
なつの母校である島波(しまなみ)中学校の門をくぐると、たくさんの後輩がなつの周りに集まってきてくれた。
こういうの、すっごく嬉しいよね。
辺りをグルッと見渡して顔ぶれを見れば、みんな見たことがある子たちばかり。
それもそのはず。
なつたちが生まれ育ったこの島は、人口が約700人と少し小さな島。
学校は、小学校、中学校、高校と、それぞれ一校ずつしかない。
保育園や幼稚園なんかもなくて、いつも小さな子供たちを見るのは、近所のおばちゃんやおじちゃんたち。
この島の人はみんな優しくて、今まで犯罪が起きたことなんかない。
だから、とても安心ってわけ。