夏色の約束。~きみと生きた日々~
声のした方を振り向けば、真ん丸い目をさらに真ん丸くした一際小さな女の子。
肩まで伸びた髪の毛が、彼女の成長をなつに感じさせてくれた。
「あー!やっぱりなっちゃんだ!」
女の子はなつを見ると、にこにこしながら嬉しそうになつのもとへと駆け寄ってくる。
「結衣(ゆい)ちゃん!久しぶりだね」
「うん!本当に久しぶりだよ。だってなっちゃん、全然結衣のお家に遊びに来てくれないんだもん」
「あはっ、ごめんね? ってか結衣ちゃん、なつのこと“なったん”って呼ばなくなったんだね。昔はなったんなったんっていっぱい呼んでくれたのに」
「あ、懐かしいね!ちょっと前まで呼んでたよね、なったんって。でもさ、結衣ももう15歳だもん。いつまでもなったんって呼べないでしょ」
結衣ちゃんがあははと笑いながら、なつを見て微笑む。
「それより!なっちゃん、早く結衣の家に遊びにきてよ!結衣、なっちゃんがきてくれるの待ってるのに」
「ごめんって。なつもさ、今年結衣ちゃんと同じ受験生だからさ、忙しいんだよね」
「むー、分かってるけど……」
「あ、でもね、今日、結衣ちゃんのお家にお邪魔しようと思ってたんだよ?」
「………あ、そっか。そうだね……」
さっきまでにこにこ笑ってたのに、結衣ちゃんは急に大人しくなって、寂しそうな笑みを浮かべた。