夏色の約束。~きみと生きた日々~
その涙が、その泣き顔が。
あの時のあおちゃんとよく似ていて、なつの胸がぎゅーっと締めつけられる。
「おーい、高岡(たかおか)?高岡はいるかー?」
その時、誰かが遠くから結衣ちゃんの名前を呼んだ。
「………あ、先生だ。今日、ご飯食べた後面談があるの、忘れてた」
結衣ちゃんはそう言うと、流れていた涙をゴシゴシと拭い、真っ赤な瞳でなつに手を振った。
だからなつも、笑顔で手を振り返す。
気付けば周りにいたあの子たちはもういなくて、なつは校門に備え付けられている大きな時計に目を移す。
───13:05。
「あ、やばい!早く行かなきゃ」
思いのほか時間がたっていて、そこで初めて、自分が長いこと話し込んでいたことに気づく。
なつはひとつ深呼吸をすると、思い出の校舎に一歩足を踏み入れた。