夏色の約束。~きみと生きた日々~
「なったん、なったん!」
なつのことを“なったん”なんて呼ぶのは、なつが知る中でただひとり。
あの子だけ。
「ねぇ、なーったん!」
だんだんと大きくなっていくその声に応えるように、なつはゆっくり後ろを振り返る。
それとほぼ同時に、なつの体にドンッと小さな衝撃が走って、腰に回されたのはちっちゃな両腕。
「だぁーれだ?」
少し舌っ足らずな口調でとても楽しそうに、腰に回した手にぎゅーっと力を込めるこの子。
あまりにも可愛くて、思わず笑っちゃう。
「結衣ちゃんでしょ?」
腰に回されていた小さな腕を優しくほどきながらなつが振り返ると、そこにはにこにことした可愛らしい笑顔。