夏色の約束。~きみと生きた日々~
「あ、ママとパパだ!」
「……本当だね。それに、なつのお母さんたちもいる」
「碧お兄たんもいるよ!」
「結衣ちゃんのお家のわんちゃんもいるね」
なつは結衣ちゃんを見てにこっと微笑む。
そしたら結衣ちゃんは小さなてのひらで口元を覆って、
「みーんな、いるね!」
って、おかしそうにクスクス笑った。
……あ、確かにそうかも。
だって今日は、なつたち家族とあおちゃんたち家族そろってのバーベキュー。
本当に、みんな勢ぞろいだね。
「結衣、お肉いーっぱい食べるんだよ!それでね、今よりもっと大きくなるの!」
「ふふっ、結衣ちゃん、クラスの中ではちっちゃい方だもんね?」
「そう!だから、いっぱい食べて大きくなるんだ!いつかは、なったんも抜かすんだからねっ」
得意げになつを見上げてくる結衣ちゃん。
そんなことしても、可愛いだけなのに。
兄弟がいないなつにとっては、“結衣ちゃん”という存在がとても大きなもので。
不思議と、なにをされても可愛いなって、好きだなって、そう思えるんだ。