夏色の約束。~きみと生きた日々~
「おーい、菜摘、結衣ちゃん。日なたは暑いだろう。このパラソルの中に入ってなさい」
少し離れたところから聞こえてきた声に顔を上げると、なつのお父さんがこっちこっちと手招きをしている。
どうやら、なつたちのために砂浜にパラソルを立ててくれたみたい。
こんなにも暑いのに……。
さすが、なつのお父さんだね。
いつもは面と向かって言えないけど、そんなお父さんの不器用な優しさがなつは大好きなんだ。
「ありがとう、お父さん」
お父さんに向かってそう笑顔を見せると、お父さんはふっと頬を緩めて頷いてくれた。
なつは結衣ちゃんの手をぎゅっと握り、お父さんが立ててくれたパラソルの下にぐいっと入りこむ。