クリスマスはメランコリー
「…お友達帰っちゃったんですか?」

「…はい、でも一人で食べますから」


声をかけてきたのは、男の店員さんだった。


“余計なお世話"だと思いながら顔も見ないで、そそくさとデザートコーナーに駆け寄った。


それでも近寄って来て、何故かデザートを皿に盛り付けしている私の側に立っていた。


無性に腹が立つ。


どうせ、またまたミーちゃんに近付きたくて、連絡先を知りたいだけでしょ?


「何ですか?まだ用がありますか?友達なら帰りましたから、勝手に友達のメアド交換とか出来ませんから!!私は放って置いて下さい!!」


私はイライラを吐き出すかのように、店員さんに罵声を浴びせた。


最低女だな、私。


デザートを胃に流し込んで、さっさと帰りたい。


大好きで週1は来ていたカフェだけど、色々と気まづいから今日で最後にしよう。


「もうすぐ上がるから一緒に食べませんか?」

「えっ!?」


ニコニコしながら発した店員さんの一言で私は驚き過ぎて、ロールケーキを挟んでいたトングを思わず緩めてしまった。


ロールケーキは無惨にも形が潰れて、生クリームとフルーツが飛び散る。

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