クリスマスはメランコリー
ドキドキ…ドキドキ…。

突然の誘いに胸が張り裂けそう。


「あ、ご、ごめんなさい…ロールケーキ落としてしまいました」


ポケットからハンカチを取りだし、動揺しながらも床に潰れているロールケーキを包み上げようとしたら…

「ハンカチを汚さないで。大丈夫、店員の僕が片付けますから…」

と言って腕を捕まれた。


「…はい、すみません」


俯く私の耳元で…

「店長に睨まれたので、仕事に戻ります。待ってて下さいね」

と呟いて私の元を後にした。


私は左手に持ちっぱなしだった皿を右手に持ち替えて、席に戻る。


席に戻り、デザートコーナーに視線を送ると先程の店員さんがロールケーキを片付けてくれている様だった。


店員さん、ロールケーキごめんなさい。


皿に盛られているミニチョコケーキとミニプリンを見ると…何だか脱力感。


からかわれているのか本気かどうかも分からずに…待っていいのか悪いのかも分からずに…ただデザートを眺めていた。


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