俺とお前のポニーテール
「 真優、もう行けよ。」
むくれっ面の真優に離れた所から友達が手を振って俺たちの方に走ってくるのが見えた。
「 あ、圭織っちだ!静兄~ 部活終わったら門にいてね?原谷くんは~ …どうでもいい!じゃね~ 」
ぶっ。どうでもいいってか~
「 なんだ真優の奴!静哉、お前甘やかしすぎっ」
「 別に甘やかしてない、原谷が嫌われてるだけだろ 」
原谷の言うとおり甘やかしてるというのが正しいかはわからない。
ただ、150センチしかない真優が175センチの俺を見上げて話す姿は昔から可愛いと思っていた。
妹… 妹じゃないけど、妹じゃないから可愛いのかもしれない。
俺には複雑難解なとこだ。
学校にいる間で真優が顔を出すのは決まって昼。
でも、ドアからピョコンと現れるはずの真優が顔を見せない。
代わりに顔を出したのは真優の友達の圭織だった。
圭織ちゃんか、原谷と何話てんだ?
「 静哉、圭織ちゃんが来てくれって 」
「 俺?」
圭織ちゃんが俺に何を…
「 静哉くん、真優ちゃんがね… 大変なのっ 一緒に来て!原谷くんはいいから。 」
「 なんで俺を半端にすんだよっ 」
そんな原谷はほっといて俺は圭織に言われてついていくと自転車置き場に来た。
歩くのを止めて俺に隠れるように言う圭織は静かに指差した。
その指先の方を見ると、真優の後ろ姿があった。
真優?…これまさか、告られてる?
いや、真優が告ってんのか?
「 真優ちゃんね、隣のクラスの高間くんに告白されてんだよ。噂は聞いてたんだよねぇ真優が好きだって 」
「 真優をねぇ… 」
いつも俺にくっついてる真優を好きなんだな、アイツ… 高間ね…ふぅん
「 静哉くん、真優ちゃん達笑ってる!付き合うのかなぁ 」
え… 付き合う? 真優が高間と?
妙な違和感を胸に感じた気がした。
「 圭織ちゃん、真優が決める事だから。戻るよ 」
「 静哉くん、真優ちゃん取られてもいいの!?」
その場を去る俺に圭織が言った。
取られてもいいのって、圭織は勘違いをしている。
真優は俺のじゃないんだ。
だから、取られるって意味が合わないんだ。