俺とお前のポニーテール
腹減ったな… 早くこい、ピザ!
「 ねぇ静兄、覚えてないだろうけどさ… うちにポニーテールあるじゃない、植物の。ママってば あれ見てポニーテールにしたとか言ってるけど、違うんだよね。
まちがってはないけど、もう一つ理由ありんだよ?」
「 なに?」
「 うん、幼稚園の年少の時に男の子に髪引っ張られてポニーテールがグシャグシャになっちゃって泣いてたの覚えてない?」
ん… なんとなく、確か泣いて真優を…
「 あっ!!」
思い出した…
「 思い出した? 泣いてた私にさ、静兄が結んでくれたんだよねぇ、グシャグシャだったけど。一生懸命 ポニーテールをしてくれて… 私嬉しくて… だから、ずっとポニーテールが好きなの 」
「 そんなんあったな、なつかし~ 」
「 だからね、高間くんとは付き合わないよ?」
うん、そうだな…
「 え、はっ!?なに、付き合わないってなんで… 」
なに、言ってんだ真優…
「 高間くん、来週引っ越すの。それでね、好きだけど離ればなれになるから、お別れにせめてデートしたいんだって。
ね?静兄の勘違いだって言ったでしょ 」
マジ…… マジか………
俺、バカじゃん。みっともねぇホッとしてるし…
「 静兄… 私が好きなのは静兄だよ。ポニーテールしてくれてからずっとね 」
真優… こんなの反則だ、俺は…
店員がピザを運んできて、俺に告白したはずの真優はケロッとしてピザにかぶりつく。
ピザを食べる真優を見つめてある物に目がいった。
「 静兄も食べて!食べちゃうよ?」
「 俺のは俺のだ、食うな!」
食べながら時おり俺を見ては微笑む真優が、たまらなく可愛いかった。