バラとチョコレート(X'mas 仕立て)
「メリークリスマスイヴ!カヲっぽ」
昨日のデジャブ?寝ぼけてるのかなと目を疑う。
昨日の少年が満面の笑みでバラの花を差し出した。
「・・・ありがとう」
ぼぅとしている頭でバラを受け取る。
「じゃあ、俺、急いでるから、またね!」と振り返り、去っていく少年はランドセルを背負っている。
今日はクリスマスイヴか。
ホワイトクリスマスは期待出来そうにない、澄み渡った青空を見上げてそう思った。
「hope=希望」今朝のメッセージカードにはそう書いてあった。
頭の中に不思議を抱えたまま、店に着くと、
「カヲルちゃん、ちょっと前に小学生かな?ランドセル背負った子がカヲルちゃんにって置いてたよ」
とパティシエの先輩に赤バラを渡された。
「カヲルちゃんの作るチョコレートに魅了された少年かな?」
とおどけて笑う先輩に「そんなことありませんよ」と返す。
小学生がこんな手の込んだことする?
「love=愛情」添えられたメッセージを見て、先輩がそう言いたくなった理由が解った。