バラとチョコレート(X'mas 仕立て)


「メリークリスマスイヴ!カヲっぽ」


昨日のデジャブ?寝ぼけてるのかなと目を疑う。


昨日の少年が満面の笑みでバラの花を差し出した。


「・・・ありがとう」


ぼぅとしている頭でバラを受け取る。


「じゃあ、俺、急いでるから、またね!」と振り返り、去っていく少年はランドセルを背負っている。


今日はクリスマスイヴか。


ホワイトクリスマスは期待出来そうにない、澄み渡った青空を見上げてそう思った。


「hope=希望」今朝のメッセージカードにはそう書いてあった。




頭の中に不思議を抱えたまま、店に着くと、


「カヲルちゃん、ちょっと前に小学生かな?ランドセル背負った子がカヲルちゃんにって置いてたよ」


とパティシエの先輩に赤バラを渡された。


「カヲルちゃんの作るチョコレートに魅了された少年かな?」


とおどけて笑う先輩に「そんなことありませんよ」と返す。


小学生がこんな手の込んだことする?


「love=愛情」添えられたメッセージを見て、先輩がそう言いたくなった理由が解った。


< 10 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop