バラとチョコレート(X'mas 仕立て)
「ごめん、寝てた?」
「ううん、シャワー浴びてた。どうしたの?こんな時間に、珍しいね」
その夜、どうしても諭の声が聞きたくて、遅めの時間にも関わらず、電話をしてしまった。
電話越しの諭の声は少し疲れているみたいだった。
電話をかけたことを後悔する。
「特に用はなかったんだけど」
言葉に詰まる。
自分も疲れているせいで、うまい言い訳が浮かばない。
「カヲルさん」
沈黙の後で諭が名前を呼んだ。
ん?と訊き返すと、
「今、12時になったよ。メリークリスマス」
諭がそう答えた。
あぁ、本当だ。
「メリークリスマス」私も諭に向けてそう返した。