バラとチョコレート(X'mas 仕立て)
「いやいや朱見くん、愛されちゃってるね~」
オーナーがバラを手にして厨房に入って来た。
いよいよクリスマスも大詰め、夕方のピックアップの分の仕上げが終われば、続いていた緊張感から開放される。
「度々すみません、お店が忙しいのに。私にもあの子が誰なのか解らなくて・・・」
「それがあの子、お客さんの波が引いた頃を見計らったかのように現れるんだ。不思議な子だよ、余裕が無くなっている販売スタッフもあの子が来ると笑顔になってる。さっきは店頭で、お菓子の宣伝までしていった。かわいい小さなサンタにお客さんが集まったよ」
ハハハと笑いながら私の肩を叩くオーナーに少しほっとした。
「glory=栄光」「effort=努力」新たに付け足されたバラをロッカーに入れる。
「努力の先に栄光があるのだ!」そう背中を押された気がして、よしと拳を握り、気合いを入れた。