バラとチョコレート(X'mas 仕立て)
12月に入ると、店内がピリピリとした雰囲気になってくる。
クリスマスの大繁忙に向かってのカウントダウン。
予約のケーキが増える度に、パティシエたちの顔つきが凛としてくる。
1年で最もチョコレートが売れるのはバレンタインデーだけれども、考案した生チョコレートを使ったクリスマスケーキをお店の主力商品の1つにしてもらえた。
評判も上々、私も頑張らなくちゃ!と気合いが入る。
「今年は去年以上に忙しくなりそう。諭(さとし)はどう?」
「俺の方も、やっぱり予約でぎっしり埋まってる。年末に向けて忘年会の予約も増えてきたし」
「そっか、今年も会うのは無理そうだね」
「そうだね」の返事に、「じゃあ、お互い良いクリスマスを」と冗談を言って電話を切った。