§ スウィート・クリスマス§
拓くんが、ニューヨークに来たのは、コンクールに出ることもあるけれど
もう一つ、重大な理由があった
「な、アニキ、なんとかなんねぇ? 頼むよ」
パシンと両手を合わせ、懇願してる拓くん
「拓、いくらなんでもそれは協力出来ない問題だな、悪ぃが他、探せ」
腕組みしながら、きっぱりと言う直
拓くんが、必死に直にお願いしている内容
それは
私を、恋人として、一日貸し出すこと…
何故かというと…
拓くんがお世話になっている和菓子屋さんの奥さんが
拓くんを気に入って、こっちに留学している娘さんと会ってもらいたい、と言ってきたらしい…
なので、カムフラージュとして、私を拓くんの恋人として
一緒にこっちに来てる奥さんと留学中の娘さんに合わせて、難?を逃れたい、そうだ…
私だって、そんなすぐわかっちゃうウソに付き合いたくない
「そこをなんとか頼むよアニキー、咲和も、このとおーりっ」
パシッと
再び、両手が合わさる
よ、呼び捨てじゃない!
10コ近くも年下に呼び捨てされるの、なんかむかつくぅー
「わ、私、拓くんより、随分年上だから、かえって怪しまれると思うのょ、それに私ウソつくのヘタだしっ!」
「そこは、大丈夫、
咲和、童顔でちっこいし、年サバ読めば大丈夫さ、咲和がよけいなこと喋らなきゃ奥さんたちだって怪しまない
だからさ、このとおり」
またまた両手が重なった
「はぁー……もう、仕方ねぇな
1日は、ダメだぞ、2、3時間だけだ それと、条件として、オレも一緒に行く、それでいいな!」
うそぉー! 承諾しちゃったのぅ!?
断ってくれると思ってたのに…
私は、直にキツい視線を送りリビングのドアをバタンと締め寝室へと向かった