§ スウィート・クリスマス§

直が、私を拓くんの恋人として
他の人に会わせること
直は、なんとも思わないのかな…

直の目の前で、拓くんの恋人として振る舞わなきゃいけないんだよ…

直…
私、イヤだょ…

そんな気が重い日々を過ごす
クリスマスが近いある日のこと…
ジュリアさんのお店の手伝いに行くため、寝室で着替えていた


ガチャ


え…?直?もう帰ってきたの?
振り向くと、拓くんがドアの傍に立っていた


「ちょ、ちょっと! 勝手に開けないでよ!」


「えー、いーじゃん、着替えくらい、見られたって減るもんじゃねーしっ」


「減るわよ! 早く出てってよー」


着ようと手にしていたカットソーで胸元を隠す


「へぇ…咲和、ちっこいクセに胸あんじゃん アニキ、幸せモンだなー」


ゆっくりと私の方へと近づいてくる


「ちょ、ちょっと! 何、近づいてんの?! ここは寝室よ!
私と直以外、入っちゃダメ!早く、出てって!」


そんな私の声など素通りで、とうとう私の目の前まで来てしまった
持っていたカットソーをギュッと握りしめ足を踏ん張る


拓くんは、じっと私を見つめる
不意に、腰を引き寄せられ


そして…


「…っん、んんっ」


うそっ!!き、き、キスされた!


「んっ、んー」


拓くんの胸元を力の限り押して、私自身も、後ろへ下がる

なんで? なんで?

押した拍子に持っていたカットソーが落ちたから、上半身ブラだけの状態…
押された拓くんは、出てくかと思いきや、また私の方へ来て腕を引っ張られ、
そして首もとに顔が埋まり、暖かく湿った感じがし、そのあと、チクッと痛みが走った

「いゃっ!」

再び、拓くんの両肩を力いっぱい押す
すると、拓くんは尻餅をつきすぐに起き上がり


「ふっ… ごちそーさん」


ニヤリと唇を上げ、寝室を出て行った


なんなのよ!もう!
拓くんが出て行ったドアに怒りをぶつけた



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