記憶
最後の最後まで、バカ丸出し。
私は閉じたばかりの日記をもう一度開き、おかしな位置に年号を書き加えた後、その日記を皮のケースにしまいこんだ。
その皮のケースは、いつでも…辛い時、悲しい時にすぐに手に取れるよう、空っぽになった机の引き出しに入れた。
そのとき丁度、ドアをノックする音が聞こえた。
「結衣子さん、そろそろ。」
「は~いっ!今行きます!!」
私はそう返事をして、大学を卒業し、社会人となった『結衣子』として、新しい世界にかけていった。