記憶



本当は相談したい、んだけど。



隼人の言う通り、もしもただの悪戯だったりしたときに、周りの皆まで期待させるのは可哀想だ。

芹奈なら、「おかえりなさいパーティーしようよっ!」なんて言いかねない。



そんなの、あまりに残酷すぎる。



寂しい想いをするのはあたしだけで、いい。



だから言えないよ、芹奈…琉璃。

ゴメンね。




本当は、頼りたいよ。

けど、いい加減あたしも人の支え無しで歩いて行かなきゃね?




だから…待っててね。




あたしはそうやって少しずつ欠落していく自分の心を、自分だけの力でなんとかしようと思っていた。


もう、子供じゃないのだからと。



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