ド天然!?魔女っ子の秘密
「全ての可能性を考えねばならない。

それに、私も彼を知っている。彼は心優しく、礼儀正しい少年だとな。彼が卑劣な行動をとるようには到底思えない」


お父様は微笑んだ。


「そう、ですか…」


あたしは、全身の力が抜けていくように感じた。


嬉しかった。

お父様が、翔太がいい人だと思ってくださったから。


嬉しくて、つい口元が緩む。


「しかし、当面の間は"サファイア"によるものと考える。他の団体が実行犯だとしても、おそらく黒幕は"サファイア"だろう。何かしら関わっているはずだ。

だが、魔物密輸業者の線も捨てきれないため…もう一度調査をしてもらうことにする」

「分かりました」


お父様があたしの意見を聞き入れ、意見を変えるなんて…

前代未聞だ。有り得ない。

これは夢か?夢なのか!?


「しかしそうなると、ますます大変になるな…」

お父様は呟いた。

「と、言いますと…?」


息をのむような声が聞こえた。


な、なに何何!?あたし、何か変なことを言ったかな!?

えー?分からないです、全く分からないんですけれども!


「…まさか、お前…サファイアのことを忘れたのか…?」

「すいません......詳しいことは分かりません…」

"サファイア"の創始者だってことくらいしか覚えていない、です…


それを口にすると、お父様の目つきが一気に鋭くなった。

さっき収まったと思ったのに!

もしかして、怒られる…?
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