ド天然!?魔女っ子の秘密
そのまま美玲たちバカップルは一緒に晩ご飯を作ると言い出し、食材の買い出しへと向かった。

あたしは一人になりたかったこともあって、寮へ帰ることにした。


「ただいま」

言ってみるけど、やはり返事はない。

灯りのない薄暗い寮内は気味が悪いとも思うけど、今のあたしの精神状態にピッタリだった。

電灯もつけないまま、あたしは自室へと階段を登った。

自室の扉をあけると、制服を着替えないまま、ボフっとベッドにダイブした。


…苦しい。

身体じゃなくて心が。

こんなにも恋って苦しいんだね…


美玲と話したあの時、実はちょっとだけ期待してたんだ。


翔太と楓花さんのこと…

本当は恋人同士なんかじゃないって言ってくれるんじゃないかって。

もしかしたらあたしの思い違いだよって気づかせてくれるんじゃないかって。


でもね、美玲があの時言った言葉で現実に戻されたんだ。


『あの方は、翔太の–––』

その続きは雅人が来ちゃったから聞けなかったけど、美玲の言った言葉の続きは、


『彼女だよ』


これだったんだよね…?

きっとそうなんだよね…?


予想と同じだったけど、でも、心が痛い。


覚悟してたけど、やっぱり辛い。


あはは、まだまだあたしの精神面って脆(もろ)いんだね。

あたし、本当はもっと強いんじゃないかと思ってたよ。

これも思い違いだったんだね…
< 332 / 535 >

この作品をシェア

pagetop