ド天然!?魔女っ子の秘密
『いいえ、貴方が魔法を使ってあの子に攻撃したの。ウィンド・カッターって言って…』

その若いお母さんは、怪物から子供を守るように、さらに力を入れて子供を抱きしめていた。


ウィンド・カッター。

それはカマイタチのように、風で相手を傷つける技。

使う者の力次第だが、相手に切り傷を負わせる。

力次第では、人一人死に至らしめることだって可能だ。


一般に言って小学5年生から使えるようになるといわれているが、あたしの場合はお父様のスパルタ教育のお陰で幼稚園に入る前から使えた。


しかし一般の幼稚園児が使えることはまずない。

そのため…幼稚園児なのにウィンド・カッターを使ったあたしを恐れていたのだろう。


その時、初めて自分が"異常"なんだと知った。

同時に酷い孤独感を覚えた。

辺りが真っ暗闇になったような感覚がした。


若いお母さんはあたしを放っておいて、傷口を洗い流すなど、彩ちゃんに処置を施していた。


あたしはそれをボウっと眺めていることしかできなかった。


『あたしは異常者』




その言葉があたしの心を支配していたから............


そしてその若いお母さんが呼んでいたのだろう救急車が到着して、彩ちゃんは病院に運ばれた。
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