ド天然!?魔女っ子の秘密
隊員達も、先ほどの魔法など比ではないことに気づいたらしい。

それと、矢の矛先があたしだということも。

「「「「由良さん!!!」」」」


隊員達の叫び声がする。あたしは溜息をついた。

だから…


「あたしのことは心配しなくていいんだってば」


心配性なんだから、と溜息をつくと、隊員達は顔を青くした。

それは、あたしが冷たくしすぎたせいだけではない。

"サファイア"の皆さんが創り出した矢があたしのわずか数メートル先に迫っている。


確かに凄い魔法ではあるけれど、皆はこれくらいの魔法で本当にあたしが死ぬとでも思っているのだろうか?


そうだとしたら、あたしは随分とナメられたものだ。あたしは"ガーネット"の当主に扱かれてきたというのに。


"ガーネット"と"サファイア"の両方に向かって、ねぇ、とあたしは話を始めた。


「あたしを倒す気ならもっと本気になりな。

この程度の魔法じゃ…



あたしは倒せないよ?」



あたしは鼻で笑った。

そして、一言。


「"デリート"」

あたしは飛んでくる矢を一本も残さず消し去った。


"サファイア"の皆さんの顔は、なんだかピキッと凍り付いたように固まってしまった。


あらら、あの程度の魔法であたしを倒せると本気で思っていたらしい。全く、"ガーネット"を甘く見ないでよね。こっちは世界一位の魔物退治屋なんだから。

それとも、あたしがこんなに余裕でいることが案外想定外だったのかな?

どの道あたしを軽く見ていたことには違いない。不本意だ。


「大体…こんな弱い矢であたしを殺そうだなんて考えが浅はかすぎ。

ナメないでくれる?」


止めの一言を言い放つと、場の空気が凍った。


味方の"ガーネット"の隊員達はもちろん、千沙さんも美玲も、雅人までも、固まっている。
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