ド天然!?魔女っ子の秘密
サファイアの攻撃は、あたしがシールドを張り終わるのとほぼ同時だった。

凄まじい黒い光線が、まるで稲妻の如きスピードであたし達に迫りくる。

黒い光線は辺りの地面なども巻き込みながら威力を増していく。ものすごい風が吹いて、前傾姿勢でないと立っていられない。


シュル、と嫌な予感のする音がして、張り終えたばかりのシールドは解けた。


か、間一髪…


「遅い」

フン、と鼻で笑ったサファイに何も言えない。


サファイアの言うことが、悔しいけど正しい。

確かに、遅かった。だけど、それは手を抜いたというわけではない。

本気だったんだ。それなのに、それなのにも関わらず、遅かった、なんて…

これが、あたしとサファイアとの魔力の差…?


っと、いけない。

気持ちで負けていたら、勝てるものも勝てない。

しっかりしな、自分。


壊れてしまいそうな心をなんとか奮い起こし、杖を構えた。


「"ホーリー・アロー"!」


サファイアは、闇系統の魔法使い。生前は水系統だったらしい。

この光系統の攻撃で、何か反撃の糸口が見つけられたらいいんだけど…


「"ダーク・オーラ"」

黒いモヤが現れた。

なぜ?なぜ、このタイミングで闇系統の魔法を使ってくるの?

光系統の魔法に、闇系統の魔法が効くわけがないことくらい、サファイアだって当然知っているはずなのに…

でも、これはありがたい。

これで、隊員達を救う時間を短縮することができた。良かった…


ホッと溜息をつくその前に、

光は闇に吸い込まれた。
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