ド天然!?魔女っ子の秘密
「"ガーネット"の姫君よ、消え去れ」

サファイアから底知れず溢れ出てくる闇の魔力に圧倒される。

「"アイス・アロー"」

「"シール…っ」

急いでシールドを構築しようとしたが、間に合わなかった。


右の太ももに、岩でできた矢が刺さっている。

「っ!」


激痛が全身を駆け巡る。

足元がフラつき始め、立っているのがやっとの状態だ。

何もできず、せめてもの抵抗にギッと睨みつける。


サファイアは微かに笑みを浮かべ、杖を振り上げた。

きっと杖が振り下ろされた時、魔法が発動されるだろう。

それも、強いヤツが。

シールドでも展開しないと、確実に死ぬだろうね。


だけどもう、対抗出来るほどの魔力も体力も残っていない。


由良さん、万事休す、ですね。


お父様…お母様、ごめんなさい。あたしの命、もうすぐ尽きそうです。


どうせ死ぬのなら、いっそ潔く死のう。

"ガーネット"の一員として、恥ずかしくないように…最期まで堂々といよう。


あたしは構えていた杖を降ろし、静かにゆっくりと目を瞑った。


あぁ…せめて、言いたかったな…翔太に、好きだと。

気持ちが届くとか届かないとか、そんなことは関係ない。

楓花さんという彼女がいようがいまいが、そんなことは関係ない。


ただ、伝えたかった。


居場所をくれてありがとうって。


それだけが心残りかな…


なんて、もう遅いんだけどね。


自嘲気味に笑った。
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