ド天然!?魔女っ子の秘密
「…お…己ぇっ」


サファイアは重々しく立ち上がった。

目には怒りを宿している。

先ほど負った傷は、その強大な魔力のせいですぐに治っている。


あんなに凄い閃光を受けたというのに、怪我がもう治っているなんて…ここまで強大な魔力を持っていたら不死身に近いのかもしれない。


「"ダーク・スパイア"ぁっ!」

「"シールド"…ぐぁっ!」

皆を覆うほどのシールドは、なんとか展開し終えた。

それなのに、サファイアの攻撃はシールドを突き抜けてきた。


それほど怒っているのだろう。


サファイアが繰り出した刺のような鋭い物体が体に突き刺さる。

あたしはその場に倒れこんだ。


「由良っ!」

美玲があたしに駆け寄る。


「皆…怪我は…?」

起き上がろうとすると激痛が全身を駆け巡った。


「俺らは大したことねぇよ!それより…」

"大したことない"?

それってつまり…

「皆、怪我したの?」


嫌…!あたしはもう誰も失いたくないのに…!

あの孤独感が押し寄せてくる。フラッシュバックする過去。

嫌だ…嫌だ、嫌だ嫌だ!嫌だ!!


「大丈夫ですから!皆死にませんから!」

千沙さんがあたしの異変に気づいたのか、大きな声で呼びかける。

それを聞いて少し安心した。

落ち着け、あたし。気を乱している場合じゃない。大丈夫、皆、いるじゃない。

あたしは深呼吸した。


「由良さん!大丈夫ですか?」

「あたしは、大丈夫…でも、皆が…」


皆不安そうな顔であたしを見ている。

そんな心配しなくたって、あたしは大丈夫だってば。

そう簡単に、死なないから…

やることがまだまだ残ってるのに、死ねないから…


あたしは立ち上がった。

「由良!?」

......ちょっと足元がフラつくけれど。
< 500 / 535 >

この作品をシェア

pagetop