ド天然!?魔女っ子の秘密
「ばっ馬鹿かお前!そんな状態で無茶すんな!」

「…してない。それに、無茶してでも翔太を助けたいから…」

翔太を取り戻したい。

そのために…


「サファイアを、救わなきゃ…」


サファイアを倒したところで、翔太は戻ってこない。

サファイアと翔太は…今は、一体だから。


それに、届かなかった恋心が原因なら…あたし、救ってあげたいって思うの。


そりゃ、怒ってる。怒ってるよ。翔太に、ワイバーン達に酷いことをしたから。絶対に許さないよ。

だけど、だからって放っておいたら、また別の人が傷つくかもしれない。ワイバーンや皆のように。

それに同じ痛みを経験した人を放っておくなんて、あたしにはできない。

それが極悪非道のサファイアであったとしても。

きっとサファイアと自分を重ねて見てしまうんだろうね。これもあたしが弱いからなのかもしれない。

それにサファイアを救うことで翔太を救えるなら…やるしかないでしょ!


「救うって本気か!?」

「もちろん」


本当に救えるかどうかは分からないけれど、やるしかない。


「だってあいつは…」

「分かってる。でも、翔太を取り戻すために、サファイアを救うの」

あたしは強い口調で言いきった。


「でも、どうやって救うんですか?今のサファイアは、不死身の状態なのですよ?」

千沙さんは不安そうな顔をしている。

確かに、そうだけど、

「一つだけ、方法があるの」

体のあちこちが痛むため、ゆっくり言った。

「それはどんな方法なの?」

美玲がフラつくあたしを支えながら聞いた。

「あたしがサファイアに"ある魔法"をかけるしかない…でも今のあたしには、その魔法をかけられる程の魔力がない」

「今の状態の由良さんが魔法をかけるなんて絶対に危ないですよ!私が代わりに…」

「心配してくれてありがとう。でもね、あたしにしかできないの」

あの魔法は、千沙さんが使うにはあまりに難しすぎる。危険すぎる。あたしだって成功したことはないんだし…
< 501 / 535 >

この作品をシェア

pagetop