ド天然!?魔女っ子の秘密
光が消失し、目を開ける。

サファイアの動きを見るが、まださっきの攻撃が効いているらしく、起き上がってすらいなかった。

皆から魔力をもらっている最中に邪魔されなかったのは助かった。

でも…大丈夫かな…?サファイアが死んだら、翔太も死ぬことになる。だから、今は生きていてほしいんだけど…


「由良さん…」

ハッと見ると、皆があたしを見ていた。

「ありがとう、皆。借りた魔力は、必ず返すからね」

あたしは心配そうな顔をする皆に笑いかけた。


溢れんばかりの魔力が、今、あたしにある。

これだけあれば、魔法が発動できるかもしれない…ううん、皆のために、必ずしなくちゃ。


「…頼んだぞ、由良」

「…お願いね」

あたしはその言葉に笑ってみせた。

「任せといて!」

それから真面目な顔になって千沙さんの方を見た。

「…二人をお願い」

千沙さんは黙って頷いた。

そして、あたしはもう後ろを振り返らなかった。


今あたしがやるべきことをする。

そのために、魔力を借りたんだから…


あたしの心に、迷いや不安などは、塵一つもなかった。


「…サファイアさん」

「......許さん……」

フラリと立ち上がったサファイアの声は掠れていた。


「許さん…許さん、許さん!


アンドラとガーネットの血を引くお前など…断じて許さぬ!」


バッと上げた顔には強い怒りと憎しみが滲み出ていた。

同時にサファイアから発せられるオーラや魔力も、更に濃い闇へと変化している。
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