ド天然!?魔女っ子の秘密
辺りから強風が現れ、サファイアの髪の毛は逆立っている。

先程の千沙さんの攻撃であちこちを怪我し、血が滴っているのも拭わず、高らかに笑うその姿は不気味としか言い様がない。


そしてサファイアは叫んだ。

「"地獄の闇の中、燃え盛る灼熱の炎よ、我に力を貸せ。

全てを焼き尽くすその力を!

ダークネス・フレイム"!」


音を立てて、怒りと憎しみを纏った巨大な炎が現れる。


闇と炎の二つの系統を持つ高位魔法を、このタイミングで使ってくるなんて…!


「"アクアライト"っ!」

闇には光、炎には水が効果的。

それを知っていても、この魔法で防ぎ切るのは無理だったみたい。

あたしの攻撃がちゃんと直撃したのに…まだまだ炎は燃え盛っている。


「"セイント・アクア・クリア"!」

さっきの魔法よりも強力な魔法を繰り出す。

二つの魔法を使って、やっと相打ちにできた。


水蒸気が辺りを包み、視界は悪くなった。

「しぶとい奴め!"ジェットストーム"!」

強風が巻き上がるように吹き荒れ、水蒸気は消え去った。

吹き飛ばされそうになる体に力を入れ、前傾姿勢を保つ。

なんとか杖を振り上げ、

「"サンド・ショット"!」

声を張り上げた。

しかし攻撃虚しく砂は風に舞うだけだった。


その瞬間、サファイアの声がした。


「貴様、血迷ったか!風に砂の攻撃など全く効かぬわ!」

風の中で舞う砂のせいでサファイアの姿は見えず、高笑いが聞こえてくる。
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