【短編】聖なる夜の秘恋
聖なる夜の秘恋
今日は、街がキラキラと煌めく特別な夜。
街路樹は淡いブルーの電飾を纏って街を彩り、ショーウィンドウは煌びやかな明かりを放っている。
この日だけは、街中がまるで、光の魔法にかかったみたいになる。
道行くカップルは、ぎゅっと手を絡めて通り過ぎていく。
息が触れ合うほど体を寄せて、幸せそうな表情を浮かべていた。
そう、今日はクリスマス。
私の、特別なクリスマスなの。
そんな夜にうっとりとして漏らした吐息が、白くなってひんやりとした空気にとける。
私はスキップしながら、赤鼻のトナカイを鼻歌にして歌う。
幸せそうなカップルを見て羨むのももう終わり。
今年は幸せなクリスマスにするんだもの。
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