大事なものは、いつでもそばに
私は、恭介を好きになる資格なんてない。そんなことは自分が一番よく解っている。

せめて彼が好きになった人とは幸せな時間を過ごしてほしいと思う。でなければ、私は立つ瀬がない。

あの時、私は彼の大事な一生を台無しにしてしまった。

スラッガーの命とも言える足を、使い物にならなくしてしまったのだ。

5年前ー

当時、シニアリーグで中学生と一緒に練習していた恭介は、中学生顔負けの器用なプレイと驚異のキック力で、スーパー小学生ともてはやされていた。

そんな彼が、ある日の夕方に交通事故に遭ってしまったのだ。

足を挫いてしまった私の代わりに、私の忘れ物を学校まで取りに行ってくれた途中で、その事故は起きたのだ。

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