ティラミス



「難しくて、分からないですよ、慧海さん。」

「そうかな。ストレートに言ったつもりなんだけど。」


ハハハ、と乾いた笑い声を上げる滝沢樹。



「私は、そのままの君も、真っ直ぐでいいな、と思ったよ。」


棚に目を向けそう言っておく。


数分の沈黙。


ポツリと、「本当ですか」と滝沢樹が小さい声で呟いた。


その声が震えていたのは気のせいだったのだろうか。
「うん、本当」と私は言い返した。



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