ティラミス
音楽の神様
コンサートが終わり、さて帰ろうとした時。
カツカツ、とヒールの音が近づいてきて、顔を上げたらスーツ姿の女性が立っていた。
「樹が、あなたに、と。」
渡されたのは音符が描かれた淡い水色のメモ。
鉛筆で、ミミズのような字が書かれていた。
『ひさしぶりですね
ききにきてくれてありがとございます、
さとみさんとさよならした日から、ぼくはずっとかみさまをさがしていました、
おんがくのかみさまは、見つけられません、
でも、さっき目があったとき、ぼくは思ったんです、
ぼくのかみさまは、さとみさんだなぁ
だいじなフルート、助けてくれたから、
すきです、さとみさんのこと
いちねんまえ、たくさんはなして、たのしかったです』
あまりのミミズ字に、解読するのにかなり時間がかかってしまった。