ティラミス
「駅前のカフェのティラミス美味しいらしいですよ。行きませんか?」
「映画券貰ったので観に行きませんか?」
「あの、その本、面白いですか?」
滝沢樹はなかなかしつこく、何度私が断っても諦めなかった。
どんなに素っ気なく返しても次々と話を振ってくる。
「あの男子高校生、絶対慧海ちゃんのこと好きだよね~。」
司書の方々にまでそう言われ笑われ、私はなんとも居心地が悪かった。
「クリスマス近いから、そろそろ告白してくるんじゃない?」
そう茶化される。
そうか、クリスマスか。
バイトして勉強しての毎日を繰り返していた私はそんなこともすっかり忘れていた。