幽とぴあらいふ
学 ﾆﾁｼﾞｮｳ 校

１

快晴の青空と、まだ熱をもたない太陽の光。

文字通りの爽やかな朝に、憂鬱そうにため息をつく人物がいた。


｢はぁ…｣


オリーブ色のブレザー、襟にグレーのライン。緩く結ばれた蘇芳色のネクタイが良くも悪くも一発で学校が特定されそうな制服を着たその人物は、朝陽を浴びふわふわと柔らかそうな栗色の髪が光を透かし金色に見えてどこか壁画の美女を思わせる。


｢…………。｣


ゆっくりと歩いていた歩みを止め、長い睫毛を伏せてソッと何か確かめるように首辺りに左手を添えた。


｢オッハヨーサーン｣

｢ウグッ｣


一日の始まりの挨拶が背中への体当たりと同時にかけられ、勢い良く後ろから腕が首に回された。


｢首、き…きまってますってば、伊月さんですよね？｣


息苦しくて回された腕をタップすると、腕の締め付けが少し緩くなる。


｢アッタリぃー。ユウちゃんの後ろ姿見つけて飛んできてん｣

｢おはようございます、相変わらず朝から元気ですね。｣

｢当たり前やんかー。こーんな爽やかな朝に美人のユウちゃん。そらご機嫌さんにもなるで｣


首に回した腕でそのまま肩を組み横並びに歩き、溌剌とした笑みで悠希をみた。
< 1 / 5 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop