キャラメル☆ハニー
「立花さんがこのクラスに来るの珍しいね。何かあった?」
低い、落ち着いた声。
その聞き慣れた声の質問に答えるよりも先に、手にあるプリントを差し出した。
彼は目の前のプリントを前に、首を傾げる。
「これ欲しかったやつでしょ?圭子から預かったの」
「……柏木さんから?」
いつもの柔らかい声とは違う、低い、低い声。
穏やかな彼の苛立ちを含んだ声を、初めて聞いたかもしれない。
「じゃ、また放課後」
彼がプリントを手にした瞬間、私がここにいる意味はなくなった。
軽い挨拶をして彼の教室を後にした。……が、
「立花さん」
呼ばれて、仕方なしに振り向いた。
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