ハッピーハッピークリスマス
こんな時に限って、目の前を通る人が足を止める。
そしてしげしげとケーキを見定めたりしてるから、ポケットの中の携帯はそのまま。
私は取って付けた様な笑顔を張り付けた。
「ど、どうですか?」
そう訪ねれば、「うーん、どうしょうかな?」なんて考え込んでしまうお客さん。
一向に携帯に出る事は出来ない。
そして、そんな事をしてる間に携帯は切れてしまった。
ーーあーあ、誰だったんだろ?もしかして大和だったりして……?
そう思うと、張り付けていた笑顔も自然と剥がれ落ちる。
本当ならバイトに集中しなくてはいけないのに、どうしても気になる。
大和の事を考えると、バイトになんて集中出来ない。
「これ、頂こうかな」
「あ、はい。ありがとうございます」
けど、大和の事すら考えさせてもらえないみたいだ。
お客さんが一人帰ったと思えば、次のお客さん。
そういうのが何回が続く。
続くから、さっき掛かって来た電話の事も忙しさでうっかり忘れてしまう。