ハッピーハッピークリスマス



あわだだしさも相まって、気付けはもうとっくに7時を過ぎていた。



ケーキはだいぶ減ったが、残り5個。



やっとお客さんも途切れ、私はやっとポケットの中の携帯に触れる事が出来た。



着信は1回きり。


相手はやっぱり大和だった。



「………大和」



1時間以上前の着信履歴をみて、私はもう本当に泣きそうだった。



ーー大和、今頃何してるだろ?
1時間も待ってはくれないよね。



そう思うと無償に泣きたくなる。



物凄く楽しみにしてたのに!!



今日はもう会えないのかな?


もしも怒ってたらどうしよ!?


今さら電話しても大和は出てくれるかな?



もう不安だけしか胸の内から溢れてこない。



考えれば考える程、最悪な結末に辿り着く様な事しか思い付かない。




でも、これは自分で決めたこと。仕方ない。



ーー大和に会いたかったな。



そう単純に素直に思うと、ポロっと頬に涙が一筋だけつたう。



それを私は隠す為、俯いた。


そしてその涙をそっと拭った。






「……あのー、これください」


< 11 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop