ハッピーハッピークリスマス
あわだだしさも相まって、気付けはもうとっくに7時を過ぎていた。
ケーキはだいぶ減ったが、残り5個。
やっとお客さんも途切れ、私はやっとポケットの中の携帯に触れる事が出来た。
着信は1回きり。
相手はやっぱり大和だった。
「………大和」
1時間以上前の着信履歴をみて、私はもう本当に泣きそうだった。
ーー大和、今頃何してるだろ?
1時間も待ってはくれないよね。
そう思うと無償に泣きたくなる。
物凄く楽しみにしてたのに!!
今日はもう会えないのかな?
もしも怒ってたらどうしよ!?
今さら電話しても大和は出てくれるかな?
もう不安だけしか胸の内から溢れてこない。
考えれば考える程、最悪な結末に辿り着く様な事しか思い付かない。
でも、これは自分で決めたこと。仕方ない。
ーー大和に会いたかったな。
そう単純に素直に思うと、ポロっと頬に涙が一筋だけつたう。
それを私は隠す為、俯いた。
そしてその涙をそっと拭った。
「……あのー、これください」