ハッピーハッピークリスマス
いつの間にか目の前にお客さんが居て、私に声を掛けてきた。
いけない、いけない。せめて大和会えないなら、最後までちゃんとバイトぐらいしなきゃ!
だから涙を拭いて一呼吸して、顔をあげる。
無理矢理だけど笑顔も作って。
「いらっしゃい……って、大和……」
びっくり……びっくりした。
目の前に大和が立ってる!!
もしかして、これは夢?幻??
「これ、ください」
「あっ、はい……」
私は突然の大和の出現にただあわあわしていた。ただ彼の顔を見詰める事しか出来なかった。
そして大和と言えば、完全にお客さんになりきってる。
「ねぇ、まだ終わんない?」
支払いを済ませケーキを大和に渡すと、彼は少しだけ前屈みになり、私の耳元でそう囁いた。
もう、私はその声を聞いただけで泣きそうだと言うのに。
「………」
「待ってるから……」
「……えっ?」
大和をじっと見詰めると、大和も私を見詰め返す。
それは妙に嬉しいのに恥ずかし過ぎて、私から先に目線を逸らした。