ハッピーハッピークリスマス



いつの間にか目の前にお客さんが居て、私に声を掛けてきた。



いけない、いけない。せめて大和会えないなら、最後までちゃんとバイトぐらいしなきゃ!



だから涙を拭いて一呼吸して、顔をあげる。



無理矢理だけど笑顔も作って。




「いらっしゃい……って、大和……」




びっくり……びっくりした。


目の前に大和が立ってる!!



もしかして、これは夢?幻??




「これ、ください」


「あっ、はい……」



私は突然の大和の出現にただあわあわしていた。ただ彼の顔を見詰める事しか出来なかった。



そして大和と言えば、完全にお客さんになりきってる。



「ねぇ、まだ終わんない?」



支払いを済ませケーキを大和に渡すと、彼は少しだけ前屈みになり、私の耳元でそう囁いた。



もう、私はその声を聞いただけで泣きそうだと言うのに。



「………」


「待ってるから……」


「……えっ?」




大和をじっと見詰めると、大和も私を見詰め返す。


それは妙に嬉しいのに恥ずかし過ぎて、私から先に目線を逸らした。



< 12 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop