ハッピーハッピークリスマス
「あのさ、泣いた?」
「え?」
「ここ、涙の流れた跡がある」
大和はそう言いながら私の頬の上に細長い指を滑らす。
私は益々恥ずかしくなり俯いた。
きっと顔も真っ赤だ。それに頬も熱い。
「ごめんごめん。でも、茉依みてたら触れたくなった」
「………」
またしても大胆な台詞をこんな公共の場で恥ずかしげもなく喋っちゃう大和。
どうしよ!?もうバイトにならないかも。
大和に会えた嬉しさから再び涙は溢れそうだし、それをなんとか我慢するのがやっとだと言うのに。
私達を隔てるテーブルとその上のケーキ達。
やっぱりそんな隔てがあっても、私達が醸し出す雰囲気は店員と客。なんて関係よりかなり甘い。
「茉依ちゃん。大丈夫?」
そんな慌てた声が耳に届いたのは、それから数分後。
慌てて店内から飛び出して来た店長は、真っ青な顔色で私を見詰め、急に私の腕を掴み、自分の方へ引き寄せた。
ーーえ?
店長の不可解な行動に、私も驚いたが、大和もかなり驚いているらしい。
あっ、目付きが………。
「茉依ちゃん。もしかしてナンパされてた!?」