ハッピーハッピークリスマス
ーーえ?ナンパ!?
私も大和もその台詞に顔を見合わせる。
私、大和にナンパされてる様に見られてたの?
そう思うと私から自然とクスクスと笑みが漏れた。
大和は相変わらず、怖そうな目付きで私と店長を睨んでいるみたいだけど。
店長はそんな私と大和を交互にげげそうに見詰め、掴んでいた腕もゆっくり解き放った。
「もしかして、ふたりは知り合い?」
「は、はい」
私がそう返事をすると、今度はばつ悪そうに後ろ頭を掻く店長。
店長の早合点。
って、店長は本当に慌ててお店の中から出てきてくれたみたいで、袖もとにはベッタリと生クリームが付着してる。
心配させちゃったかな!?
「あの、俺……茉依の彼氏の横川大和〈ヨコカワ ヤマト〉です。茉依がお世話になってます」
店長の慌てっぷりに驚いていると、今度は大和が店長に向かいあいさつをはじめる。
『茉依の彼氏』なんて人前で恥ずかしげもなく言ってしまう大和って。
私はなんだか恥ずかしくてまた俯いた。
「茉依ちゃん。もう上がっていいよ」
「え?で、でも店長……」
ケーキはまだ売り切れてない。後何個か残っている。
それなのに、いいの?